Nature ナチュール NPOさんさんくらぶ事務局便り

Vol.110
2022年11月17日
発行:NPOさんさんくらぶ事務局
会員数:正会員38人 賛助会員募集中

さんさんフェス2022報告

音楽劇「さんさん版ポラーノの広場」を上演
~10月8日 南大沢文化会館交流ホール~

第16回を迎えたさんさんファミリーコンサート(さんさんフェス)は、常連グループの寄せ集め発表会から一歩踏み出して音楽劇「ポラーノの広場」に挑戦した。宮沢賢治の有名な童話を下敷きに、卒園生で多摩美大で演劇専攻中の奥山樹生君が脚本・演出したさんさん流「ポラーノの広場」である。野原の奥のどこかにあって、みんなの自由で楽しい交歓の場であるはずのポラーノの広場を訪ねてみると、そこは議員の選挙運動のための偽の広場だった。やがてその地方は無数の毒蛾に襲われて、一歩も家を出られなくなる。やっと毒蛾が去って、分断されていた人々はもう一度集まって本当のポラーノの広場を作り上げる…。

言うまでもなく、この話は現在のコロナ禍の情況にぴったり当てはまる。北野ちひろさん(元・さんさん保育者)が朗読と主人公レオーノ・キュースト役を務め、チェロの志村壮太さんが若者ファゼーロ、敵役の山猫博士には混声合唱団AJETの太田孝さん、そのだとおひげは白山羊と黒山羊。進行を支える多彩な演奏を常連の「寄せ鍋」グループと「パパちち」の小沢・久保田組が担当、民謡から讃美歌まで何でもありの楽しい音楽劇を作り上げ、集った皆さんに楽しんでもらった。

(おひげ)


さんさんフェス2022 〜演出を終えて〜

みなさま、ありがとうございました。

無事に幕が上がって下がったこと、本当に嬉しいです。最近の情勢もあり、上演できる喜びは一段と大きなものです。もとから、日常に奇跡は溢れていたのだなあと感じます。

宮沢賢治の作品の台本化。それはちょっぴり恐れ多くもありながら、賢治の物語に深く入り込む楽しい冒険でした。

それを、みんなで読んで、共に形にしていく。ここからが、一番の大冒険。スタッフからキャストまで年齢層も、過ごすコミュニティもさまざま。自分のペースだけで話してしまうと、相手にとって不親切な言動もしばしば…。でもどんな時も誰かが助けてくれる、というのもこの広い幅の集まりの良さでもありました。

そして、さまざまな演奏家たちが、共通の曲を通して通じ合う瞬間は稽古場でも心が震えました。そう思うと、稽古の過程から本番までその全てが一つの作品のようでした。

卒園生的にはおひげと意見を交わしたり、さんさんで面倒を見てもらったあのちひろ(親しみを込めて)に自分の書いたセリフを言ってもらう日が来るとは思いもしませんでした。そこも含めて不思議と楽しさと奇跡がいっぱいでした。

(奥山 樹生)


さんさんフェス2022 〜出演者の振り返り〜

「ポラーノの広場」で何ができたか

さんさん版「ポラーノの広場」の出演者とスタッフが後日、反省会を行いました。主要な発言をまとめてみました。

奥山 樹生(脚本・演出)練習ではどうなることかと思ったが、本番は何とかまとまりました。

小野 葉月(演奏:寄せ鍋)約1時間半で、長さはちょうどよかった。演じる方も観る方も疲れなくていい。ちょっとした失敗も効果的でした。

小野 憲史(演奏:寄せ鍋/学者役)楽しくやらせてもらいました。プロジェクターを使って背景に映像を映し出したりするともっと楽しくなると思う。

久保田 好男(演奏:パパちち)はじめはこれでカタチになるのかと思ったが、やっぱり脚本がよかった。コロナ禍のもとで訴えたいことがしっかり出せた。演奏主体でなく劇主体にしたことで、それぞれの演奏が短めになり聞きやすかったのではないか。

新出 英明(舞台監督)さんさんらしい音楽劇、こんなことを思いつくのはさんさんぐらい。一つのスタイルが出来上がったと思う。

小沢 茂則(演奏:パパちち/祭りの司会者役)全部さんさんの力でオリジナルなものを作れた。新しい「ポラーノの広場」が生まれた。今回をベースにもっと磨いていいものを作れるのではないか。演奏面ではリラックスして弾けたし、自分たちのオリジナルも披露できた。

太田 孝(演奏:AJET/山猫博士)いろんな人が来てくれて褒めてくれたのはうれしい。みんなの広場を作ろうという設定がタイムリーでよかった。山猫役は楽しんでやらせてもらったが、AJETのジュリーさんに言わせると元気な場面は善かったが、落ち込んでいる場面の演技はダメだったと。

志村 壮太(演奏;チェロ/ファゼーロ役)それぞれが精いっぱいやったと思う。音楽に比重はあっても、全体のメッセージ性がちゃんと出せているのがよかった。最後の「宇宙の唄」はいい曲だが、みんな知らない。聴衆がよく知っている歌に寄せるとよかったかも。

おひげ(演奏:HO/山羊役)これを踏まえて次を考えたい。賢治の「セロ弾きゴーシュ」はどうだろう。チェロが下手だったゴーシュが練習しながら動物たちとやり合ってだんだんうまくなっていくという話。ゴーシュがいろんな音楽とのふれあいを通じて成長していくという物語にできそうだ。

小沢 最初からできる人はいない。今できないからダメということはない、いろんな助けを受けて人は成長するというメッセージは悪くない。

・・・というわけで来年は「セロ弾きゴーシュ」になりそうです。乞うご期待。

※さんさんフェス2022の事業は「真如苑」の市民活動助成を受けて行なわれました。


チェロと一緒に読み聞かせ・活動報告

2020年に旗揚げした音楽一座「さんさん音楽劇団(仮)」ですが、今年度はまちだ展を始めとして神保町のおしゃれなカフェへの出張公演、地域のこそだて広場カシュカシュさんでの読み聞かせや、鶴川の図書館祭りに出演、そして12月には多摩センターのこそだて広場Oliveさんでの読み聞かせも決まりました。絵本に合わせてチェロの志村さんが曲を作り演奏します。メンバーの一人ませぎりえこさんの絵本もレパートリーに加わり、子どもも大人も楽しめるプログラムとなっています。皆さまにも聴いていただけると嬉しいです。

(た)


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